グロースファクターとは?
プラセンタやクロレラ、松樹皮などには「グロースファクター」(グロスファクター)が豊富と言われますが、そもそも「グロースファクター」とは一体なんなのでしょうか?
グロースファクター(英:Growth factor)は、日本では「成長因子」「細胞増殖因子」などとも言われます。
グロースファクターは、生き物の体の中にある物質のなかでも、何らかの細胞の活動(増殖・抑制・分化など)に関わる物質(タンパク質)のこと。
つまり、人の成長や老化、健康、病気に関わる細胞の活動に影響を与えるのが、グロースファクターです。
このグロースファクターには様々な種類があり、種類によって役割が違ってきます。
主なグロスファクターの種類と効果・働き
①EGF(英:Epidermal Growth Factor)
「上皮細胞増殖因子」とも言います。皮膚や隔膜、肺などにある「上皮細胞」を増殖させる成長因子(グロースファクター)で、主に医薬品の成分として利用されています。最近は、「EGF様物質」(EGFに似た働きのある成分)を配合した化粧品なども販売されていますので、比較的メジャーなグロースファクターかと思います。
②FGF(英:Fibroblast Growth Factor)
「繊維芽細胞増殖因子」とも呼ばれる、グロースファクターの一種。コラーゲンやヒアルロン酸、エラスチンなどの成分を産生する「繊維芽細胞」を活性化・増殖させます。繊維芽細胞は、真皮にあるコラーゲンやヒアルロン酸、エラスチンの増減に関わっていますので、肌の弾力やシワ・たるみに影響を与える成長因子になります。
③G-CSF(英:Granulocyte-colony stimulating factor)
G-CDFは「コロニー刺激因子」と呼ばれるグロースファクターで、マクロファージや血管内皮といった免疫系細胞の働きに関わります。好中球減少症といった免疫系疾患向けの医薬品などに利用される成長因子です。
④HGF(英:Hepatocyte Growth Factor)
肝臓組織をつくっている細胞を増殖・活性化するグロースファクターです。日本語だと「肝細胞増殖因子」と呼ばれます。HGFによって肝臓の細胞が増殖・活性化されると、肝機能障害などの予防・改善につながると考えられています。
⑤IGF(英:Insulin-like growth factor)
「インシュリン様成長因子」のことで、軟骨細胞や平滑筋細胞を増殖・活性化させるグロスファクターがIGFです。
これらの細胞は、主に関節機能や血管・臓器の筋収縮機能などを担っていますので、減少すると関節炎などの原因となります。
最近はリュウマチ予防などの観点でも研究が進められています。
⑥NGF (英:Nerve Growth Factor)
NGFは知覚・交感神経節細胞といった神経細胞の活性化・増加に関わるグロースファクター(成長因子)です。
「神経細胞増殖因子」とも言います。神経細胞の働きが弱まると、認知症やアルツハイマー、うつ病、ホルモンバランスの乱れ、更年期障害といった症状を引き起こす恐れがあります。
⑦TGF(英:Transforming Growth Factor)
「トランスフォーミング成長因子」とも呼ばれる、ガン細胞などがつくり出すグロースファクターです。
TGFにはいくつかの種類がありますが、基本的には正常細胞の増殖・抑制・分化を異常細胞の増殖・抑制・分化に転換(トランスフォーム)させる成長因子です。
グロースファクターの安全性
グロースファクターは、人体にとって欠かせない物質です。正しく使えば病気の予防・治療につながったり、肌の再生や若返りを図ることも見込めます。
ただし、安易に使われるべきものではありません。例えば、IGF(IGF-1)のような過剰摂取によるガンリスクが懸念されているものもありますし、TGFなどのようにガンと密接に関わるものもあります。
機能性が高いものは、使い方を誤れば毒にもなり得ますので、「グロースファクター」だからといって、素人考えで何でも使えば良い・たくたん使えば良いというわけではありません。
グロースファクターの入手・摂取方法
基本的にグロースファクターは医薬品の成分ですので、例外を除けば医療機関・薬局などでしか入手できません。
①美容注射(医薬品)
美容クリニックなどで投与される「美容注射」の成分に、EGFやFGF、IGFなどが用いられているものがあります。シワやたるみの改善、ニキビや疱瘡跡の治療などに使われます。
②ダーマローラーやイオン導入(医薬品)
EGFやFGF、IGFといったグロースファクター配合の製剤(ローション状)を、イオン導入機やダーマローラー(ハリ・トゲのついたローラー)を肌にあてて浸透させる方法です。こちらも美容クリニックなどで実施される方法です。
③その他
グロースファクターは自然界の動植物にも存在していますので、日常生活の中でも、おのずとグロースファクターを摂取している場合もあります。
例えば、クロレラや松の樹皮、プラセンタなどは、グロースファクターを多く含むと言われています。ただし、こういった日常生活で摂取するグロースファクターが、医薬品と同じ効果を得られるとは限りません。